2026/9/2
人生、このままでいいのかとモヤモヤするときに考えたい7つのこと
「人生、このままでいいのか」という感覚は、今の生活が間違っている証拠ではない。これまで自分を支えてきた価値観と、これから選びたい生き方の間に、ズレが生まれ始めた合図である。
人生を変えるほどの答えを、今すぐ出す必要はない。先に行うべきなのは、モヤモヤを「仕事」「人間関係」「時間の使い方」「守りたいもの」に分けることである。分けることができれば、人生全体を壊さずに、小さな選択から確かめられる。
IKIGAI JAPANは、一人ひとりの人生と、その人が大切にしているIKIGAIを本人に直接聞き、インタビュー記事として記録している。IKIGAI JAPAN編集部が公開106人の記事を分析した結果(2026年9月)、人生の転機は明確な夢から始まるとは限らなかった。違和感、喪失、病気、孤独、偶然の出会いなど、当時は意味の定まっていなかった出来事が、後から人生の方向を変えている。
この記事では、106人の一次情報と心理学研究をもとに、モヤモヤを整理して次の一歩を考える七つの問いを紹介する。
人生、このままでいいのか――106人から見えた「人生が動く場所」
2026年9月時点の公開106人には、人生の転機として「独立・起業」が59人、「結婚・パートナー」が43人、「病気・余命」が26人、「海外」が25人、「挫折」が24人、「孤独」が23人に付与されている。
これは、独立すればIKIGAIが見つかるという意味ではない。一人の記事に複数のタグを付けたIKIGAI JAPAN掲載者の構成であり、日本人全体を代表する統計でもない。ただし、人生の方向は成功や夢だけでなく、関係の変化や、思いどおりにならなかった時間からも動くことが分かる。
人生、このままでいいのかと考える時、人は「次の正解がない」ことを問題だと思いやすい。しかし106人の人生を聞いて見えてきたのは、正解を得てから動いた人ばかりではないということである。分からないまま試し、選び直し、後から自分の選択に意味を見いだしている。
今の仕事は続けられるが、残りの人生を同じ形で続ける自分が想像できない。その感覚を抱えている方は、約20年間続けた居酒屋を閉じ、50歳から身体の探究へ進んだ美林直樹さんのインタビューを補足として読んでほしい。転職を勧める記事ではなく、「続けられる仕事」と「これから深めたい問い」が異なる時に、どのように選び直したかを記録した記事である。
106人を聞いて分かった、モヤモヤの三つの役割
一つ目は、モヤモヤが「大切にしたいもの」を知らせることである。時間の使い方に違和感があるなら、自由や家族との時間を求めている可能性がある。仕事の進め方に納得できないなら、丁寧さや相手との信頼を守りたいのかもしれない。
二つ目は、「変えたいもの」と「残したいもの」を分けることである。取材では、仕事を変えても家族との暮らしは守りたい、活動を始めても収入は急に手放せないという両方の思いが語られる。人生を選び直すことは、すべてを捨てることではない。
三つ目は、出来事の意味が後から変わることである。挫折や遠回りを経験した時点では、その意味を説明できない。しかし後に誰かを支える仕事や、新しい判断基準につながることがある。苦しい経験を美化する必要はないが、その経験から何を知ったかは選び直せる。
IKIGAI JAPANが残したいのは、完成した成功談だけではない。その人が何に迷い、何を守ろうとし、どのように選び直したのかという過程である。
「このままでいいのか」を、意味を探す時間として捉える
Newmanらが2018年に発表した研究では、大学生254人が2週間、毎日の「意味を探す感覚」「意味を感じる感覚」「幸福感」を記録した。個人差だけを見ると意味の探索と幸福感は負の関係にあったが、同じ人の一日ごとの変化を見ると、意味を探した日の感覚は意味の実感や幸福感と正の関係を示した。翌日の意味の実感との関連も報告されている。
この区別は、人生、このままでいいのかと考える時に役立つ。今は意味を感じられないからといって、人生に価値がないわけではない。問いを持ち、意味を探している途中にいる可能性があるからである。
Okuzonoらが2022年に発表した縦断研究では、65歳以上の日本人を対象に、2013年のIKIGAIの有無と2016年の健康・幸福・社会参加などとの関連を調べた。解析対象は結果により6,441人または8,041人であり、IKIGAIがあると回答した人では、機能障害や認知症の発生、抑うつ症状、生活満足度など複数の指標との関連が報告された。
ただし、これはIKIGAIを持たせる介入を無作為に行った実験ではない。対象も65歳以上であり、若い世代へそのまま当てはめることはできない。論文は、IKIGAIを持てばすべてが解決すると保証するものではなく、人生の意味を健康、人とのつながり、生活条件も含めて考える必要を補足している。
人生、このままでいいのかというモヤモヤを分ける7つの問い
IKIGAIの取材を続けて感じるのは、人生全体への不安として尋ねるより、具体的な時間、関係、行動へ分けた方が、その人が守りたいものを言葉にしやすいということである。
ノートに、次の問いへの答えを書いてみてほしい。
- 「このままでいいのか」と強く感じるのは、どのような時間か。
- 今の生活で、これからも続けたいものは何か。
- 誰にも評価されなくても、もう少し知りたいことは何か。
- 本当は大切なのに、後回しにしている人や時間は何か。
- 今の生活から一つだけ減らすなら、何を減らすか。
- 失敗しても生活が壊れない大きさなら、何を試したいか。
- 半年後、「これだけは自分で選んだ」と言いたいことは何か。
7つの問いに取り組むと、何が変わるのか
七つの問いには、人生全体に広がった不安を、具体的な選択へ戻す効果がある。
例えば、「仕事を辞めるべきか」という二者択一では動けなくても、「減らしたい時間は何か」「残したい関係は何か」と分ければ、会議を一つ減らす、関心のある人に話を聞く、週末だけ活動を試すといった選択が見える。
また、変えたいものだけでなく、変えたくないものを書くことで、取るべき危険と取らなくてよい危険を分けられる。身につけた技術、家族、住む場所、仲間、収入を残しながら、生活の一部だけを試す方法もある。
安定を手放す怖さと家族を守りたい思いの間で迷っている方は、約20年間勤めた会社を離れ、家族に残せる生業をつくろうとした木村洋平さんのインタビューが参考になる。怖さが消えてから動いた話ではなく、何を守るかを基準に選んだ記録である。
何が合うのか分からず、まず選択肢を増やしたい方は、大学時代に経理、営業、Web制作、動画編集、マーケティングなど約7社の仕事を試した大石竜聖さんのインタビューを読んでほしい。最初から天職を知っていた人の話ではなく、試すことで自分の方向を確かめた記事である。
人生、このままでいいのかという問いを使う時の注意点
第一に、七問すべてへ一度に答える必要はない。今、最も気になる問いを一つ選び、答えが変わることを前提に書けばよい。
第二に、モヤモヤをすぐ大きな決断へ変えないことである。退職、離婚、移住などは生活への影響が大きい。期限と費用を限定した小さな実験を先に置き、行動後の自分の反応を確かめる必要がある。
第三に、周囲の正解を自分の答えにしないことである。社会的に評価される選択と、自分が納得できる選択は同じとは限らない。
何をしても気持ちが動かない、眠れない、食べられない、日常生活を続けること自体が難しい状態なら、人生の答えより先に医療機関や相談窓口、信頼できる人を頼るべきである。心身の消耗を、IKIGAIがないせいにしてはならない。
「このままでいいのか」は、人生を選び直す入口である
「このままでいいのか」という問いは、今の人生を否定する言葉ではない。これからの人生を、もう一度自分で選びたいという感覚である。
答えを急ぐ必要はない。ただし、その感覚を無視し続ける必要もない。今日、心が少し動く方向へ一つだけ選ぶ。小さな行動の後に生まれた自分の反応を、次の選択へつなげる。
IKIGAIは、最初から完成した言葉として見つかるとは限らない。何を守り、何を減らし、何を繰り返したいのかを確かめる中で、「自分はこれを大切にして生きたい」と分かる形になっていく。
IKIGAIコネクター
尾﨑弘師
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調査・集計方法
本記事の「公開106人」は、2026年9月時点でIKIGAI JAPANに公開されているインタビューを対象としている。転機と価値観の件数は、各記事へ編集部が付与した複数選択タグと本人の発言をもとにした単純集計である。掲載者は経営者・専門家が中心であり、日本人全体の傾向を示す統計ではない。
WRITER PROFILE
尾﨑弘師 (おざき ひろし)
IKIGAIコネクター/IKIGAI JAPAN 主宰/株式会社ミトミト 代表取締役
これまで延べ1,500人以上に「生きがい(IKIGAI)」をヒアリングし、経営者を中心に100本以上の長編インタビュー記事を執筆。経営者インタビューメディア「IKIGAI JAPAN」を運営し、人生・価値観・哲学・仕事への想いを取材・言語化し、次世代へ残す活動を続けている。
掲げるのは、「その人の人生は、誰にもコピーできない。だからこそ、残すべき価値がある。」という考え方。AIによってコンテンツが大量生産できる時代だからこそ、その人にしかない経験や思想、技術、物語こそが差別化資産になると考えている。
さらに、発掘したIKIGAIをブランド・採用・集客・営業へつなげ、経済の力へ変える「IKIGAIマーケティング」を実践。インタビューによる価値の発掘・言語化を起点に、Webサイト・漫画LP・アニメーションなどのクリエイティブ制作から、広告運用・営業設計まで一気通貫で支援し、「その人だから選ばれる」マーケティングの仕組みを構築している。

