介護のイメージを変革する

馬場田 晃一

株式会社カナン 施設長

山形県新庄市

「きつい、汚い、危険」といったイメージを持たれがちな介護事業。

介護職で働きたいという若者は年々減少し、少子高齢化が進む中で人手不足は深刻化している。この問題は今後さらに深刻になる。そのため、介護のイメージアップと若者が働きたいと思う職場づくりが必要だ。この課題は過去に何度も改革が試みられたが、大きな変化はなかった。しかし、みんなが諦めたら終わりだ。自分にしかない武器を使って「介護のイメージを変える」と語るのは、株式会社カナン施設長の馬場田晃一さんだ。

彼が実践しているのは、クラブミュージックと介護の融合。これは介護のイメージを大きく逸脱した斬新なアイディアだ。彼がこのアイディアに至った経緯や、その裏にある葛藤とは何だったのか。介護事業の未来を担う経営者との対談をお届けする。

DJだからこそ感じたインスピレーション、介護の道へのめり込む

介護の道を志したのはなんとなくだった。しかし、介護の世界に入ると、その魅力にどんどん引き込まれました。『感謝される』『笑顔に出会える』という他には代えがたい大きなやりがいを感じた。職場にいた社会福祉士が白衣を着ている姿がとてもかっこよく見え、患者に寄り添いながら働く姿に強い感銘を受けた。興味を持ち調べるとさらに魅力を感じ、働きながら社会福祉士の資格を取得。その後、より本質的な介護技術を求め精神保健福祉士、ケアマネジャーの資格も取得。5年間で三つの資格を取得したのは、偶然目にしたものにインスピレーションを受け、『なりたい』という強い思いがあったからだ。馬場田さんは己のインスピレーションを大切にし、やり遂げた。

ちなみに、クラブミュージックにはハマったのは高校生の時だった。クラブに頻繁に通い、好奇心を胸に活動を続けてDJになった。当時は店によって音楽のジャンルが厳格に分かれていたが、馬場田さんは全てのジャンルをこよなく愛した。それぞれのジャンルにそれぞれの良さがある馬場田さん。

そんな時、偶然テレビで社会福祉士とクラブミュージックを組み合わせた活動を目にした。衝撃を受けた。『これが自分にしかできないことだ』と強く思った。当時は遊びと仕事を分ける時代だった。しかし、そのテレビで見た人は、自分の信念に基づき、世間に縛られずに自分にしかできないことをやっていた。『これでいいんだ』と、日本全体を見れば、味方もいるし同じ志を持つ人もいると感じた瞬間だった。まさに、馬場田さんの人生を変えた瞬間であった。

介護をもっと楽しいへ

自分のやりたいことが明確になり馬場田さんは地元、山形に戻った。2016年に株式会社カナンを設立。施設長として、現場に携わりながら経営者として活動した。介護職にはネガティブなイメージが強い。このイメージを変えるために、介護職のポジティブを発信するようにした。

介護をもっと楽しいへを社是に、活動と配信を続けた。施設の利用者さんを楽しませるためには従業員も楽しんでもらわないといけない。そして、自社の想いを発信しないと想いは伝わらない。発信することでの葛藤もあった。私達のやっている活動に関して心無い声もあった。介護と遊びを一緒にするなであったり、クラブミュージックは怖いなどだ。『斬新なことをすると心無い声があるのは覚悟していた』。しかし、実際には辛い部分もあった。自分の本当にやりたいことは今やっていることなのか?この活動で介護の魅力を伝えることが出来るのか?と常に考えていたという。

また、馬場田さんは情報収集も欠かさなかった。自分と同じ志を持って働いている人はいないか探していた。そうするとツイッターで同じように介護とクラブミュージックを組み合わせる活動をしているDJに出会えた。インスピレーションを感じ、音楽トラック作成依頼のDMを送り繋がった。自分が行動と発信をしたことで思いが繋がった。『尖った人と出会えたことで自分もこれでいい』と思ったという。独自メソッドの音楽健康セッションを展開した。セッションを受けた利用者は『楽しかった』『身体の調子がよくなった』との感想を頂いている。また従業員も充足しているという。これは音楽で従業員も楽しく働けて、自社で発信していることで思いやビジョンを共有出来ているという。

まだまだ通過点、介護に人が集まる社会を創造する

思いを形にし、突き進んだことでメディア出演、数々のアワードを受賞。ニューヨークで講師として講演配信をするまでになった。YOUTUBEのチャンネル登録者数も1万人を超えた。これも全て仲間がいたからと馬場田さんは言う。日本全国、世界をみれば同じ志を持つ人は必ずいる。そのためには自分の想いや考えていることを発信したり、調べたりすることが重要。なぜ私がこの活動をしているのかというと『介護に人が集まる社会を作るため』。自分達だけでなく、町民を県民を国民をみんなのイメージを変えないと意味がない。介護職のイメージを変え、介護職に革新を起こさないといけない。介護職の地位向上のために介護職にしか味わえないやりがいの発信する。介護職は介護施設の活動だけがクローズUPされる。しかし介護が必要な業種はそれだけでない。これから高齢化社会が更に進む日本では至る所で介護が出来る人材が求められる。デパートには介護職員がいた方がお客様の満足度が上がるだろうし、イベントを開催するのにも介護職員がいた方が安心感が生まれる。これから、介護という分野は色んな業種とのコラボレーションが可能性がある。そしてこの高齢化社会の問題は世界で広がっていく。世界を股にかけて繋がることが出来る。もの凄い可能性がある業種である。

馬場田さんには一つ目標がある、それはTV番組『アナザースカイ』に出演すること。目標は言葉にしないといけない。介護のイメージを変えるためには介護に全く関心や関係性がない人を巻き込む必要がある。日本の介護職でこれを達成できるのは自分だ。だからこそこの思いがアナザースカイの製作者に届くように行動していかないといけない。そしてその行動を発信していけばみんなのアイデンティティの一部になれると信じている。自分自身が進む方向が分からずもがいていた時に出会えたインスピレーションの用に、今度は自分がロールモデルとなり『これでいいんだ』という前例になりたい。若い人達の埋没しているアイディアや想いの可能性が少しでも広げたい。だからこそ、私は発信を続ける。『幸せなお金を生んでいく』。この想いを持ちこれからも私は進んで行く。『介護職のイメージを変える』これが私のIKIGAIだから。

あとがき

大好きなクラブミュージックを極めてきたからこそ身に着いた感受性。それが無ければ馬場田さんの想いを作ったインスピレーションには出会えてなかったであろう。新しいイノベーションはみんながやろうとしない異端と呼ばれるものからしか生まれない。

異端と言われた活動で心無い声もあったという。そんな時に出会えた同じ志を持つ人。この革新的な活動を続けてこれたのは同じ志を持つ仲間の存在があったからだと感じた。その出会い、一つ一つが今の馬場田さんを作っていると思うと胸が熱くなる。

馬場田さんの活動は自分自身が分からずもがいている若者達にも『こんな風にやってもいい』という一つの指標になると私は確信している。好きなことを極めれば、人生のどこかで自分の武器になる。チャンスはある日突然やってくるかもしれない。その時にチャンスを掴みとるためにも自分の気持ちに気づく感受性を磨き、飛び込んでみる勇気が必要だと感じた。馬場田さんはこれからも介護に新しい風を吹かせてくれるであろう。

この度リリースされた介護の魅力を題材にしたヒップホップのMV。これを視聴して欲しい。あなたのインスピレーションに繋がるはずだ。

『介護をもっと楽しいへ』介護は全業種、全世界と繋がれる。馬場田さんの生き様がIKIGAIがロールモデルとなれば、介護に人が集まる社会へ近づく。そしてIKIGAIの連鎖が生まれ笑顔が増えていくと私は感じ、この記事を作成した。

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