発達障害者とその親の支援

鳥村 孝子

ハッピーママくらぶ 代表理事

福岡県久留米市

知ることだけが真の多様性に繋がる

障がい者や発達障害のことを知ることで、考え方が変わる。優しさとは全てをやってあげることではない。例えば、右手が使えない人がいるなら、その人の右手になってあげること。そう、愛のあるまなざしで伝えてくれたのは、ボランティア団体「ハッピーママくらぶ」代表の鳥村孝子さん。ハッピーママくらぶは発達障害の啓発や親への支援を行っている団体である。

鳥村さんは普通の主婦だった。結婚して新居を建て、家庭生活を送っていた。しかし、息子の小学校にろう学校から転入してきた生徒が入学した。その時代、伝染病が流行しており、母子感染で耳が聞こえなくなった子供だった。その話を聞き、鳥村さんは誰でも障がい者の親になる可能性があることを強く感じた。この問題はみんなで考えなければならないことだと思った。自分の子は健常者で生まれてきたが、何かの原因で誰がいつ障がいを持つか分からない。だからこそ、他人事ではなく真剣に考えなければならないと感じた。

鳥村さんは息子にも、耳が聞こえないから仲良くするのではなく、普通に仲良くすることを教えた。対等に接することが重要であると感じ、自分自身も同じ目線で接することを心掛けた。行動で示し、背中で見せる

『上手く伝わらないからこそ極めた伝え方』

これまで、この活動を続ける中で、思いが伝わらずに悔しい思いをすることも何度もあった。その度に、どうすれば相手に伝わるのか、相手の立場に立って考え抜いた。経営者に話す時には、障がいで苦しんでいる人たちが社会進出することで納税者となり、経済にも貢献できるとお金の面を強調した。障がいについて興味のない人たちを取り込むために、落語家の後援会やバイオリンのチャリティーコンサートを開催し、多くの人々に障がいの理解を促した。

人によって大切にしている価値観は異なるからこそ、様々な角度から伝える努力が必要である。しかし、私が最も大切にしているのは、『自分自身の困難や苦手なことを率直に伝えること』。弱さを見せることで、周りの人々が助けの手を差し伸べてくれる。何も言わなければ伝わらない。だからこそ、ダメ元でもお願いしてみる勇気を持つ。全てはこの活動を続け、広げていくために。

インタビューを通じて、鳥村さんの真っすぐな姿勢に心を打たれる人が多いことを感じた。私自身も強く感動した。その結果として、多くの繋がりが生まれ、月刊のフリーペーパー「ハッピーママくらぶ通信」を創刊することができ、NPO 法人を立ち上げる際にも協力者が現れた。全て、鳥村さんの人間的な魅力で繋がった縁だった。

『発達障害の対応ができる保育士を育む』

活動を続ける中で、思いが通じ合ったある大学と提携して、発達障害の対応ができる保育士を育むプロジェクトを 3 年前に始めた。このプロジェクトは、発達障害で学習に苦戦している子供たちを 3 名募集し、その子供たちに合ったオーダーメイドの学習方法を提供するものである。学生と教授が一緒に打ち合わせを重ね、個々の子供に最適な学習プランを考案する。このプログラムでは、学習方法の提供前後の様子をビデオカメラで撮影し、年間を通じて 18 回にわたりビフォーアフターを記録する。

昨年、このプログラムに教える側で志願した学生が「僕は特別支援の方に行きたい」と言ってくれた。彼は 3 年次に編入を目標に、猛勉強の末に国立の特別支援科に転科した。彼の人生に夢を与えることができた瞬間だった。目的を持った学生のパワーは驚異的で、彼の努力と情熱に鳥村さん達も大いに感動した。これは鳥村さん達の活動で、正に IKIGAIの連鎖が起きた瞬間だった。

「1 人でも 2 人でも特別支援に行きたいという学生が出てきてくれて、私はとても満足しています」と鳥村さんは語る。自分たちの活動が誰かの人生のきっかけになれたこと、そしてその出会いの素晴らしさを感じた。鳥村さん達の活動を見ること

『この活動をできるまでやりぬく』

私はこれまで楽しかったから続けられた。そして、この活動を通じてたくさんの素敵な人々と出会えた。普通の主婦をしていたら絶対に関わることがなかった人々と出会えた。落語なんて絶対に聞きに行くことはなかったし、バイオリンを習うこともなかった。この活動でいろんな人々との出会いがあったからこそ、私の人生に彩りが生まれた。この活動を継続していけば、なるようになる。困った時には声を上げる。そうすれば、手を差し伸べてくれる人が必ずいる。このバトンを繋げていきたい。そのために、これからもっと多くの人に活動を知ってもらうために動いていきたい。

これまで、苦しいことも辛いこともあり、もう辞めようと思ったこともあった。しかし、そんな時に手を差し伸べてくれた人たちがいるからこそ、今の私がある。私の IKIGAIは、この活動をできる限り続け、これまで繋がってきた人々とずっと心から繋がり続けることにある。

あとがき

これまで積み上げてきた鳥村さんの活動と人間としての魅力。それは、人と心から繋がり、活動を続ける達成力に現れている。困った時に「困った」と言えることこそ、本当の意味での強さである。だからこそ、たくさんの人々が彼女と繋がり、仲間が増えているのだと感じた。困ったときに助け合える仲間たち。それは、IKIGAI を持った人たちだからこそ生まれる、尊重し合える関係に感動した。

鳥村さんの活動は、単なる支援活動に留まらず、人々に本当の意味での豊かさを伝えている。彼女の行動や言葉には、真の豊かさが溢れている。それは、物質的な豊かさではなく、心と心が繋がり合い、助け合うことで生まれる豊かさである。鳥村さんから私は、この真の意味での『豊かさ』を強く感じた。

彼女の取り組みを通じて、多くの人々が感動し、影響を受け、自分の IKIGAI を見つけることができるのではないだろうか。鳥村さんの姿勢は、私たちに「どんな困難も乗り越えられる」というメッセージを強く伝えている。これからどんなに時代が変わろうとも、この真の『富』の輝きは失われないだろうと私は確信している。

鳥村さんの活動が広がり、さらに多くの人々に届くことを願っている。そして、その活動が持つ力が、多くの人々に勇気と希望を与え続けることを信じている。鳥村さんのIKIGAI が、これからも多くの人々に影響を与え続け、共に生きる社会を築くための原動力となることを期待している。

IKIGAI JAPAN PROJECT

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